一生食べ物に困らないようにと願いを込める「お食い初め」
生まれた赤ちゃんが健康で豊かな生活を送れるように、という願いをこめるお祝い事の一つが「お食い初め」です。
「お食い初め」は、地域によって「真魚始め」や「箸祝」「箸初め」「箸揃え」といった呼ばれ方をすることもあります。
通常生後100日目を記念して行われ、赤ちゃんに初めて箸を用いて食物を与えます。
もともとは家族や親類、近所の人などを招いて赤ちゃんをお披露目するという目的で行われていたのですが、現在ではもう少し小規模に親子と祖父母くらいまでの近い身内を集めて行うことが多いようです。
お食い初めは赤ちゃんのために行う行事としては比較的メジャーで、アンケートでは約8割の人が実施をしたと回答をしています。
お食い初めで用意する器と料理
お食い初めでは専用のお膳をセットにして出すようにするのが一般的です。
その後も使用できるよう離乳食用の食器として購入をすることもできますが、より本格的に行うために仕出し屋などにお願いして「お食い初めセット」を注文する家庭もあります。
祝い膳として出される料理は、お赤飯にタイの尾頭付きなど縁起を担いだ焼き魚がついてくるのが普通です。
そこに煮物やなます、汁物をつけて一汁三菜というスタイルにします。
一般的な祝い膳の食器は、鶴や松などの模様がついた漆器膳を用いており、飯碗、汁椀をつけて全部で5つの皿をお膳に乗せます。
より厳密に行うならば、女の子の場合は外側が黒塗りで内側が朱塗りになっているもの、男の子の場合には内側外側ともに黒色のものを使用します。
食事を食べるのに使用する箸は「祝箸」と言われる柳の木で作られた、両端が細くなっている箸です。
「寿」の箸袋に収められている専用のものを使うのと本格的になります。
もう一つ、お食い初めで忘れてはいけないのが「歯固め」という石の準備です。
「歯固めの石」はお宮参りのときに神社から授かることが多いようですが、自宅で行う場合には近所で拾ってきた石を丁寧に洗ったものを使用してもかまいません。
できるだけ丸みのあるツルンとした石を用いるようにし、まずお箸で軽く石に触れてから次にその箸を赤ちゃんの歯茎にあててあげます。
使用したあとの石は手元に残しておいてもよいですが、正式にはその石を受け取った場所に感謝とともに戻すようにします。
地域によっては歯固めの石は石ではなく、栗やタコ、梅干し、鮑、お餅といったものが使われる事もあるようです。
家族で集まる時には、お食い初めで最初に赤ちゃんに食べ物をあたえるのはその場で最も年齢の高い人とされています。
子供が男の子のときには男性の年長者が、女の子の時には女性の年長者が行うようにします。